「有機溶剤作業主任者、受けてみようかな。いくらかかるんだろう」
「仕事を休まないと無理なのか。Webで受けられないのかな」
先に結論をお伝えします。費用は1万4千円〜1万8千円、日程は2日間。そして自宅からWebで受けることはできません。

最後の1つが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。「Web講習」で検索すると受講できそうな講座が出てきますが、それは別の教育です。間違えて申し込むと資格になりません。理由は通達の原文まで確認したうえで、後半で説明します。
私は40代後半で、まったくの異業種から工場派遣として製造業に入りました。その後、正社員に転籍し、総務人事として採用を担当し、いまは業務改善で現場管理者の指導をしています。専門は半導体と精密機械です。
費用は「受講料+テキスト代」。実例で内訳を出します
まず費用です。ここでつまずく方が多いのですが、受講料とテキスト代は別会計です。案内に書いてある金額が受講料だけのことがあります。
実際に公表されている金額を並べます。
| 実施機関 | 受講料 | テキスト代 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 茨城労働基準協会連合会 | 12,100円 | 2,200円 | 14,300円 |
| 千葉県労働基準協会連合会 | 13,200円 | 2,200円 | 15,400円 |
| 建設業労働災害防止協会 大阪府支部 | 15,000円 | 2,200円 | 17,200円 |
おおむね1万4千円台から1万7千円台に収まります。民間の教習機関だと、これより高いこともあります。
テキスト代2,200円は、どこで受けてもほぼ同額です。理由があります。
会員価格と、会社経由で安くなる場合
労働基準協会などは、会員事業所とそれ以外で料金が違うことがあります。勤務先が会員になっていれば安くなるということです。
自分の会社が会員かどうかは、総務に聞けばすぐ分かります。個人で申し込む前に一度確認する価値があります。
日程は2日間。タイムテーブルの実例
次に日程です。講習の中身は法令で決まっています。
実際のタイムテーブルを2つ挙げます。
| 1日目 | 2日目 | |
|---|---|---|
| 建災防 大阪府支部 | 9:00〜16:05 | 9:00〜17:15(試験16:15〜17:15) |
| 千葉県労働基準協会連合会 | 9:00〜16:15 | 9:00〜17:25 |
2日目の最後に修了試験が1時間入ります。ここが他の講習と違うところです。だから2日目のほうが終わるのが遅い。
そしてもうひとつ、試験が終わってすぐ帰れるとは限りません。採点して修了証を交付するまでに30分程度かかると案内している機関もあります。2日目は夕方まるごと空けておいてください。
平日開催が中心です
在職中の方がいちばん気にするところだと思います。
私が確認した範囲では、労働基準協会や建災防といった団体の日程は、いずれも平日の日中でした。朝9時開始で夕方まで、それが2日続きます。
つまり2日間の休みを取るか、会社の勤務時間として行かせてもらうかのどちらかになります。有給を2日使う前提で考えておくと計画が立てやすいです。
土日開催を探したい場合は、民間の教習機関の日程表も見てみてください。ただし数は多くありません。

【要注意】自宅からWebで受けることはできません
ここが、この記事でいちばん大事なところです。
有機溶剤作業主任者技能講習を、自宅のパソコンやスマートフォンだけで修了することはできません。
厚生労働省の通達では、技能講習について「登録教習機関が設定した会場に集合して実施し、修了試験を対面により実施すること」と定められています。会場に行くことが条件です。
「Web講習」で出てくるものの正体
では、検索すると出てくるWeb講座は何なのか。
調べてみると、その多くは「有機溶剤作業主任者 能力向上教育」か「有機溶剤業務従事者教育」でした。名前がよく似ていますが、まったく別物です。
| 技能講習 | 能力向上教育 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 資格を取るもの | 取ったあとの再教育 |
| 対象 | これから取る人 | すでに修了証を持つ人 |
| Web受講 | できない | できる |
| 修了試験 | あり(対面) | — |
能力向上教育は、技能講習を修了してからおおむね5年後に受けるものです。これから資格を取ろうとしている人が申し込む講座ではありません。
受講対象者の欄に「技能講習修了後、概ね5年経過した者」と書いてあったら、それは違う講座です。申し込む前に必ず確認してください。
eラーニングと言っても、行き先は会場です
ややこしいのは、技能講習にもeラーニングの仕組み自体はある、という点です。
令和3年に国がガイドラインを示しており、登録教習機関は次の形でなら映像を使えます。
- 会場で映像教材を見る形(講師の代わりに映像で講義し、質問に答える講師を会場に置く)
- 本部会場から他の会場へライブ配信する形(サテライト方式)
どちらも受講者は会場にいます。会場ごとにおおむね100人以内という制限もあります。
そして修了試験は「登録教習機関の監視者と同一場所で対面により実施する」と明記されています。試験だけは、どうやっても会場に行くことになります。
ちなみにこのガイドラインには、eラーニングを義務付けたり推奨したりするものではないとも書かれています。実施するかどうかは機関しだいなので、近くの会場が対応しているとは限りません。
申し込みは先着順。教習機関の探し方
ここからは実務です。
近くの会場を探すなら、厚生労働省の「登録教習機関一覧」から入るのが確実です。都道府県名をクリックすると、その労働局が公表している一覧に飛べます。
検索エンジンで「有機溶剤 作業主任者 ○○県」と調べても出てきますが、労働局の一覧なら、登録を受けた正規の機関であることが確認できます。
申し込みで気をつけることが1つあります。
この講習は先着順で、定員に達すると締め切られます。受付開始日を決めていて「朝9時から受付」としている機関もあります。
年に何回も開催しているとはいえ、思い立ったときに翌週受けられる、という講習ではありません。1か月から2か月先を見て動いてください。定員に達していてもキャンセル待ちを受け付けている機関があるので、諦める前に電話してみる価値はあります。
どこの都道府県で受けても全国共通です
これは知っておくと選択肢が広がります。
登録教習機関は都道府県労働局長の登録を受けていますが、交付される修了証は全国で通用します。住んでいる県で日程が合わなければ、隣の県で受けても問題ありません。
また、人数がまとまれば会社まで来てもらう出張講習を受け付けている機関もあります。職場で「何人か取らせたい」という話が出ているなら、総務に伝えておくと話が早いかもしれません。
【人事視点】会社に出してもらうときの言い方
2日間の休みと1万5千円前後。自費と自腹の有給で行くのは、正直きついと思います。会社に出してもらえるなら、そのほうがいい。
まず、どこに言うかです。
この講習は、現場の上長や管理者に申し出て受講するのが基本です。総務に相談することもできますが、その場合も総務から現場責任者に確認が入ります。
どちらから入っても、最後は現場の判断になるということです。だったら上長に直接言ったほうが早いです。
そして、言うタイミングです。
受講を希望するなら、面談を活用してください。個人面談を定期的に実施している会社なら、その場で伝えるのがいちばんです。
そこで「なぜ受けるのか」という質問は必ず来ます。ここに答えられるようにしておいたほうがいいです。思いつきではなく、自分の仕事とつながっていると伝わることが大事です。
【現場視点】いつ受けるのが動きやすいか
2日連続で現場を空けることになるので、時期の選び方でずいぶん変わります。
繁忙期を避けるのが基本ですが、いつが繁忙期なのかは製造部門によって違います。
工場では四半期ごとに需要予測が出ています。だから上長に「いつが忙しくて、いつが空きますか」と聞けば、答えてくれます。
2抜けるあいだは、シフトをずらしたり交替したりして回しています。1人抜けたくらいで止まる作りにはなっていません。ここは気にしすぎなくて大丈夫です。
派遣で働いている場合
ここは正直に書いておきます。
だからこそ、入社前に自費で取っておくという手が効いてきます。年齢制限も実務経験の条件もない講習なので、いま工場で働いていなくても受けられます。持ってから応募するのと、入ってから取らせてもらうのでは、スタート地点が違います。
この資格が半導体の工場でなぜ効くのかは、別記事にまとめています。
有機溶剤作業主任者とは?半導体工場で乙4より効く理由を元人事が解説
2日目の修了試験が不安な方は、こちらもあわせてどうぞ。合格基準と、落ちたあとの流れをまとめています。
有機溶剤作業主任者の試験に落ちる人の共通点|合格基準と落ちた後を元人事が解説
取ったあとに手当がつくのかどうかは、正直に書いています。
資格手当の相場はいくら?厚労省データと工場の実額を元人事が公開
資格を持ったうえで工場を探すなら、まず派遣会社選びからです。
【元人事が選ぶ】40代・50代向け工場派遣会社の選び方とおすすめ|年齢で損しない探し方

まとめ
- 費用は受講料+テキスト代で1万4千円台〜1万7千円台が中心。テキスト代は別会計
- 日程は2日間・学科12時間。実技はありません
- 2日目の最後に修了試験が1時間。修了証が出るまでさらに待つことがあります
- 団体系の日程は平日の日中が中心。有給2日を見込んでおく
- 自宅からWebで修了することはできません。会場に集合し、試験は対面です
- Webで出てくる講座は能力向上教育や従事者教育。これから取る人向けではありません
- 申し込みは先着順。1〜2か月先を見て動く。修了証は全国共通です
- 会社に出してもらうなら上長に直接、面談の場で。派遣ではあっせんがほとんどありません
2日間と1万5千円。中高年から工場でやっていくうえで、これは決して高い買い物ではないと思います。ただし、会場に足を運ばないと取れません。まずは近くの日程を調べて、カレンダーに2日分の空きをつくるところからです。
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