自由研削砥石の特別教育とは?試験なしで取れる理由を元人事が解説

「グラインダーを使うのに、資格っているのかな」
「試験があるなら、落ちたら恥ずかしいな」

先に結論をお伝えします。自由研削砥石の特別教育に、試験はありません。1日・6時間の講習を受ければ、ほぼ全員が修了証をもらえます。

「自由研削砥石 特別教育 難易度」と検索する方がとても多いのですが、この資格に難易度という言葉は当てはまりません。落とすための講習ではなく、安全に作業するための講習だからです。この記事では、そもそも何の資格なのか、費用はいくらか、そして採用する側から見てこの資格がどう扱われるのかまでを整理します。

私は40代後半で、まったくの異業種から工場派遣として製造業に入りました。その後、正社員に転籍し、総務人事として採用を担当、いまは業務改善で現場管理者の指導をしています。専門は半導体・精密機械の現場です。

正直にお伝えすると、私自身は自由研削砥石の資格を持っておらず、といし交換の作業経験もありません。ですので「やってみた」という体験談は書けません。この記事は、告示と各教習機関が公表している内容を突き合わせて正確に整理したうえで、採用担当として資格を見てきた側の視点を加えたものです。作業のコツではなく、資格の位置づけを知りたい方に向けています。

研削砥石
目次

結論:試験なしで取れる「といし取替え」の資格です

まず要点をまとめます。

  • 教育時間は学科4時間+実技2時間=合計6時間。1日で終わります
  • 修了試験はありません。受講すれば修了証が交付されます
  • 受講資格は満18歳以上のみ。年齢の上限はありません
  • 費用は1万円前後。学科をWebで受けられる機関もあります
  • 正式名称は自由研削といし取替試運転作業者。国家資格ではなく、法律にもとづく事業者の義務教育です

自由研削砥石特別教育とは(正式名称と読み方)

正式名称は「自由研削といしの取替え等の業務に係る特別教育」で、修了した人は自由研削といし取替試運転作業者と呼ばれます。読み方は「じゆうけんさくといし とりかえ しうんてん」です。現場ではグラインダー特別教育と呼ばれることもあります。

根拠は労働安全衛生法第59条第3項と、労働安全衛生規則第36条にもとづく特別教育です。国家資格ではありませんが、対象の業務に就くなら法律で義務づけられた教育です。持っていないと作業させられない、という性質のものだと考えてください。

【要注意】「グラインダーを使う」と「といしを替える」は違います

ここが、いちばん誤解されているところです。

この特別教育は、研削といし(砥石)を取り替える作業と、取り替えたあとの試運転に対して必要な資格です。グラインダーで削る作業そのものに、この資格が要るわけではありません。といしを自分で交換する人が、受けておく教育です。

ただ実際の現場では、使う人がそのまま、すり減ったといしの交換もすることがほとんどです。だから「グラインダーを扱う人は取っておく」という運用になっています。「自分は削るだけだから要らない」と決めつけず、といし交換に関わる可能性があるなら受けておくのが確実です。

対象になるのは、ディスクグラインダー、ハンドグラインダー、切断機など、持ち運べて自由に扱えるタイプです。動力やといしの大きさは問われません。電動マイクログラインダのような小型のものでも、研削といしを付け替えるなら対象になります。

学科4時間・実技2時間。試験はありません

教育の中身は安全衛生特別教育規程で決まっていて、学科4時間と実技2時間の合計6時間です。

区分科目時間
学科研削盤・といし・取付け具などに関する知識2時間
学科といしの取付け方法・試運転の方法に関する知識1時間
学科関係法令1時間
実技研削といしの取付け・試運転2時間
合計6時間

技能講習には修了試験があり、特別教育でも学科試験を課すものがありますが、自由研削砥石の特別教育に試験はありません。1日きちんと受講すれば修了証が出ます。「難易度」を心配する必要はありません。

服装は、動きやすい作業着に、保護めがねなど実技に対応できる格好を求められることが多いです。持ち物や服装の指定は機関によって違うので、申込先の案内を確認してください。

自由研削と機械研削。取り扱う機械で分かれます

研削といしの特別教育には、自由研削機械研削の2種類があり、受講時間が違います。

  • 自由研削…ディスクグラインダー、ハンドグラインダー、切断機など、持ち運べるタイプ。合計6時間(学科4+実技2)
  • 機械研削…平面研削盤、円筒研削盤など、据え置きの工作機械。合計10時間(学科7+実技3)
自由研削と機械研削の特別教育のちがい自由研削はグラインダーなど持ち運べる機械が対象で合計6時間、機械研削は研削盤など据え置きの機械が対象で合計10時間であることを示した比較図 自由研削と機械研削のちがい 取り扱う機械で分かれ、受講時間も変わります 自由研削 ― 持ち運べるタイプ ディスクグラインダー・切断機 など 6時間(学科4+実技2) 機械研削 ― 据え置きタイプ 平面研削盤・円筒研削盤 など工作機械 10時間(学科7+実技3) どちらも試験はなし。受講すれば修了証が出ます 迷ったら「使う機械」を会社に確認するのが確実です

工場の研磨工程で据え置きの研削盤を扱うなら機械研削、手持ちのグラインダーを扱うなら自由研削が目安です。どちらを受ければいいか分からないときは、使う機械を会社に確認してください。機械研削のほうが範囲は広く、自由研削の内容も含みます。

なぜ資格が要るのか(といしの破裂は重大災害になります)

研削といしは、非常に高い速度で回転しています。取付けを誤ったり、ひびの入ったといしをそのまま使ったりすると、回転中にといしが割れて破片が飛ぶことがあります。

といしの破裂・飛散は、大きなけがや死亡につながる重大災害です。取替えと試運転に特別教育が義務づけられているのは、この危険を防ぐためです。受講させずに対象業務に就かせると、事業者が労働安全衛生法違反に問われます。

取替えのあとに試運転で異常がないか確かめるところまでが、この教育の範囲です。だからこそ「取替え+試運転」がセットで資格名になっています。

費用は1万円前後。学科はWebでも受けられます

受講料は1万円前後が目安です(教材費・消費税込みで1万円ちょうどくらい、という機関があります)。1日で終わり、費用も抑えめなので、工場で使う資格のなかでは取りやすい部類です。

最近は学科をオンライン(Web)で受けられる機関も増えています。学科をWebで済ませ、実技だけ会場で受ける形なら、仕事の合間でも進めやすいです。

会場で受ける場合は、厚生労働省の「登録教習機関一覧」から、通える都道府県の機関を選ぶのが確実です。修了証は全国で通用します。

※ 受講料・日程・実施形態(会場/オンライン)は、教習機関や年度によって異なります。申し込む前に、受講先の最新の案内を必ずご確認ください。

【人事視点】履歴書に書く意味はあるのか

採用を担当していた側から、正直にお話しします。

一般的な話をすると、特別教育は「持っていて損はないが、それだけで採用が決まるものではない」という位置づけです。1日で取れる教育なので、資格そのものより、研磨や金属加工の実務を経験してきたかどうかを採用側は見ます。ただ、入社後にすぐ必要になる資格ではあるので、持っていれば「すぐ現場に入れる人」という印象にはつながります。

40代・50代にとっての自由研削砥石の特別教育

最後に、この記事を読んでいる方が中高年である前提でお話しします。

この教育に年齢制限はありません。満18歳以上なら上限はなく、50代で未経験から入った方でも、研磨や加工の工程に配属されれば受けることになります。試験もないので、年齢を理由に身構える必要はまったくありません。

こうした特別教育は、工場の入口に置かれた資格です。1日で、試験もなく、費用も抑えめ。体力ではなく、手順を守って安全に作業できるかで評価される場所への、最初の一歩になります。

金属加工の現場

これから工場に入る方へ

自由研削砥石の特別教育は、会社に入ってから受けるものです。まずは、40代・50代でも入れる工場を見つけるところからです。派遣会社の選び方は、採用する側の立場から書きました。

【元人事が選ぶ】40代・50代向け工場派遣会社の選び方とおすすめ|年齢で損しない探し方

玉掛けやクレーンなど、工場でよく使う資格とあわせて考えたい方は、こちらもどうぞ。

玉掛け技能講習の費用と日数|クレーン資格で短縮できる仕組みを元人事が解説

まとめ

要点をもう一度整理します。

  • 試験はありません。学科4+実技2の6時間・1日で、ほぼ全員が修了できます
  • 資格の対象はといしの取替え・試運転。グラインダーを使うだけなら不要な場合もありますが、実務では取っておくのが確実です
  • 自由研削(グラインダー等)は6時間、機械研削(研削盤)は10時間。使う機械で分かれます
  • 費用は1万円前後。学科はWebで受けられる機関もあります
  • 年齢制限は18歳以上のみで、上限なし。中高年でも問題なく取れます

「難易度」を気にして検索した方も、ここまで読んで安心されたと思います。この資格でつまずくことは、まずありません。心配すべきなのは試験ではなく、といしを安全に扱う知識のほうです。そこを1日で学べる、費用対効果の高い教育です。

出典:労働安全衛生法 第59条(安全衛生教育)/労働安全衛生規則 第36条(特別教育を必要とする業務)/安全衛生特別教育規程 第2条(昭和47年労働省告示第92号)/各登録教習機関が公表している講習内容

※ 講習時間・費用・実施形態は、教習機関や年度によって異なる場合があります。また、自由研削と機械研削のどちらが必要かは、扱う機械によって変わります。受講にあたっては、勤務先および受講先の教習機関で最新の情報をご確認ください。

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