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工場勤務はきつい?派遣・正社員・人事をすべて経験して分かった「本当のところ」

「工場勤務はきつい」「工場には頭おかしい人が多い」——検索すると、こんな言葉が並びます。これから働こうか迷っている人にとっては、不安になる情報ばかりかもしれません。

先に結論をお伝えします。工場勤務がきついかどうかは「仕事の種類」と「職場」で決まります。 そして、世間で言われる偏見の多くは、中に入ってみると実態とずいぶん違います。

筆者は40代後半で、まったくの異業種から工場派遣に飛び込みました。その後、正社員に転籍し、総務人事として採用も担当、現在は現場の管理者を指導する立場にいます。派遣として働く側・採用する側・現場を回す側のすべてを経験してきました。

この記事では、その3つの視点から、工場勤務のリアルを包み隠さずお伝えします。


目次

工場には「頭おかしい人」が多い?偏見の正体を人事視点で解説

工場勤務について検索すると「頭おかしい」「ろくなやつがいない」といった言葉が出てきます。実際に中に入った人間として、そして人事として多くの人を見てきた立場から、本音をお話しします。

確かに「個性的な人」は多い。でもそれは面白さでもある

工場には、本当にいろいろな経歴の人がたどり着きます。意外に思うかもしれませんが、「落ちぶれた人ばかり」というイメージは正確ではありません。

たとえば、前職で不動産営業をしていた、コミュニケーション能力が抜群の人が入ってきたことがあります。本人いわく「人に疲れたので、誰とも話さなくていい工場を選んだ」。ところが「全員がこんなに無口だとは思わなかった」と苦笑していました。その人は会話を抑えていても工場で働く人の数倍はしゃべるので、結局「よくしゃべるおじさん」として人気者になっていました。

ほかにも、車やバイクのレーサーだった人、ダブルワークでフルタイムをかけ持ちする人(今は労務管理上できませんが)など、話題に尽きません。工場の現場は、いろいろな人種・年齢層が集まる、まさに日本の縮図です。

「変な人」に見える本当の理由

では、なぜ「頭おかしい」という印象が生まれるのでしょうか。

工場には、コミュニケーションが得意ではない人が一定数います。「会話をしなくても仕事ができる」と考えて工場を選ぶ人が多いからです。こうした人たちは、相手の言葉の意図をくみ取るのが苦手なため、曖昧な指示をすると思いがけない解釈をすることがあります。 その行動が、外から見ると「ちょっと変わっている」と映るのかもしれません。

ただ、これは「おかしい」のではなく「コミュニケーションの型が違う」だけです。仕事そのものは真面目にこなす人がほとんどです。

【人事視点】本当に浮くのは「仕事を見下す人」

採用や現場を見てきた立場から言うと、職場で本当に浮くのは、変わった人ではありません。仕事を上辺だけで見て、見下す人です。「こんなの簡単だ」とわかった気になる人。

工場は安全と品質が何よりも優先される世界です。その意識が行動に伴っていない人は、どんなにコミュニケーションが上手でも、現場から信頼されません。逆に言えば、安全と品質を大切にする姿勢さえあれば、無口でも十分にやっていけます。

「まともな人がいない」のではなく「まともな人はすぐ上に行く」

「工場にはまともな人が残らない」という声もあります。これには、あまり語られない理由があります。

普通に会話ができて、毎日きちんと出退勤し、何かあれば報告する。一般社会では当たり前のこの行動が、人手不足の工場では「ものすごく仕事ができる人」と評価されます。すると役職が一気に上がり、現場の作業からは離れていくのです。つまり「まともな人がいない」のではなく、「まともな人ほど早くリーダーや管理者になって、現場で見かけなくなる」というのが実態です。これは裏を返せば、誠実に働ける人にとってチャンスしかない環境だということです。


工場の仕事は本当にきつい?工程別のきつさを正直に解説

ひとくちに工場勤務といっても、工程によってきつさの種類はまったく違います。筆者が実際に経験した工程を中心に、どこがどうきついのかを正直にお伝えします。

外観検査:睡魔との戦い

外観検査は、製品を目視で確認し続ける仕事です。長時間、製品を見つめ続ける集中力が求められます。特に夜勤は睡魔との戦いで、これがいちばんの辛さです。体力的にはきつくありませんが、目と神経を使います。

梱包・出荷:体力勝負だが達成感は最大

梱包・出荷は、物量計画を無視した出荷依頼が来ることがあり、朝一番で気が遠くなるような量を前にすると、正直やめたくなります。25kg〜40kgの製品を梱包し、出荷パレットに積み替える作業を、1日200回繰り返す日もあります。2人作業なので1人で全部持つわけではありませんが、腰痛になる人も多く、労災が起きやすい工程です。

ただ、終わったあとの達成感は、どの工程よりも大きいのも事実です。

加工:緊張感が最も高い

加工は、設備を熟知する必要があり、そこを覚えるまでが大変です。操作パネルに加工条件を入力しますが、ここでミスをするとすべてが損失になるため、緊張感は相当なものです。実績入力もあり、検査結果を持って走り回ることもあるので、忙しさで言えば一番かもしれません。

【人事視点】なぜ年齢が高いと「梱包・出荷」に回されるのか

配属を決める立場から、裏側の論理をお話しします。

年齢が高い人は、梱包・出荷に配属されがちです。これには明確な理由があります。梱包・出荷は、誤出荷という品質トラブルの確率が最も低い工程だからです。年齢が上がると、細かい作業を覚えてミスに注意し続ける集中力に衰えが出やすく、それは特に夜勤で顕著に現れます。だからこそ、トラブルの少ない工程に配置するのです。

一方、検査工程に向いているのは若い人で、たとえばFPSのようなゲームをやる人は、異変を見つける力があり向いているかもしれません。検査人員は常に足りないので、まずは検査に入ってもらい、難しければ機械オペレーターの補助に移る、という流れが一般的です。

意外な落とし穴:「補助」が実は一番きつい

「楽そうで実はきつい」仕事の代表が「○○補助」です。補助と聞くと簡単そうですが、1つの工程の数人分を補佐するため、1日中動きっぱなしになります。

工場では、生産に直接参加しない人員は基本的に無駄とみなされます。それでも補助が必要ということは、その工程の仕事量が多すぎて、補助なしでは回らないということ。しかも何人もつけられないので、1〜2名で全部を支えることになります。


実は「きつくない工場」がある:半導体・精密機械の現場

ここまできつさの話をしてきましたが、実はそれほどきつくない工場もあります。 筆者が経験した半導体・精密機械の現場が、まさにそれです。ここは他ではあまり語られない、現場の一次情報をお伝えします。

半導体・精密の工場が体力的に楽な理由

半導体や精密機械の工場が、食品工場や自動車工場と決定的に違うのは環境です。

食品工場には「におい」の問題がありますが、半導体にはそれがありません。自動車は半導体よりさらに重いものを扱うため、離職者が後を絶ちません。それと比べて、半導体・精密は体力的にきつい仕事がほとんどないのです。出荷・梱包でも設備が充実しているため、自動車関連から転職してきた人は「楽になった」と口をそろえます。

クリーンルームの実際

半導体の現場はクリーンルームでの作業になります。塵(パーティクル)に非常に敏感で、1万分の1という基準が常時計測されているほどです。そのため、作業服の裾を折り曲げない、袖をめくらないなど、塵がたまる行為は禁止されています。

環境としては、温度・湿度が常に一定で、少し涼しいくらい。音も静かで、普通の声で会話ができます。 花粉症の人にとっては、これ以上ない環境です。休憩は着替えの時間も考慮されています。

この業界ならではの注意点:汗と緊張感

いいことばかりではありません。クリーン服を着て動き回るので汗はかきますが、それを拭けません。汗っかきの人、特に手汗が多い人は精密品を扱えません。 実際に手汗の多い人が、外の梱包工程に回されたこともありました。

また、精密機器は一つのミスで数百万円の損失が出ることもあり、緊張感は必要です。ただし、ミスをしても個人の責任にされることはありません。再発防止の会議で対策が打たれます。とはいえ、それがかえって「二度と同じミスをしない」という戒めになるので、注意するに越したことはありません。

【重要】中高年・40代以上にこそ向いている

そして、ここが最も伝えたいことです。半導体・精密の工場は、40代以上の中高年にこそ向いています。

理由は、落ち着いて仕事ができるからです。仕事のスピードには基準値がありますが、どの年代でもこなせる水準に設定されています。安全に、丁寧に、を繰り返し、それが習慣になることで生産スピードが自然と上がっていく。そういう仕事です。

そして一番大切なのは、心を乱さないこと。中高年は、ある程度の理不尽に慣れている人が多いので、その点で有利です。チームで仕事をするなかで、40代以上の落ち着いた意見は、精神的な支柱として大いに役立ちます。

三交代・夜勤のリアルな乗り切り方

夜勤には向き不向きがあります。筆者は40代後半で初めて夜勤を経験し、慣れるまで2〜3か月かかりました。生活リズムが安定するまでは辛いですが、慣れると夜勤明けに買い物に行く余裕も出てきます。

40代だと、小学生から中学生の子どもがいる世代も多いはずです。夜勤の睡眠時間が子どもの帰宅時間と重なるので、家族とよく話し合うことが何より大切です。「自分のせいで子どもが友達を家に呼べない」と気を遣わせると息苦しくなります。自分が快適に働けるよう、生活全体を調整する視点が必要です。


「工場勤務は楽すぎ」「勝ち組」は本当か

逆に「工場は楽すぎる」「大手工場勤務は勝ち組」という声もあります。これについても正直にお答えします。

半導体関連は比較的新しい工場が多く、福利厚生や賃金の支払いはきちんとしています。 精神的な負担は、配属先の人間関係によるところが大きいですが、仕事が難しすぎて足を引っ張ってしまうような場合は、配置転換を希望すればたいてい聞いてもらえます。人員補充に1〜2か月はかかりますが。

お金の面では、筆者の派遣時代の年収は420万円ほどでした。年齢を考えると「勝ち組」とまでは言えませんが、生活に余裕はあります。最近は時給が上がっていて、年収500万円を超える人も増えています。 工場は郊外に多く物価や家賃が抑えられるので、独り身でも、共働きで家族4〜5人でも、満足に暮らせる水準です。生活への不安は、ほとんどありません。


女性・中高年の工場勤務はどうなのか

女性が急増している

ここ2〜3年で、工場で働く女性が大きく増えました。以前は検査員くらいでしたが、今は機械オペレーターにも女性がいます。工場側が女性を受け入れる体制を整えたこと、そしてコロナ以降で働く人の価値観が変わったことが背景にあります。男女平等が思いのほか進んでいて、初めて来た人は女性の多さに驚くかもしれません。筆者の勤務先では、女性比率は30〜35%ほどです。

中高年が工場で働くということ(筆者の実感)

筆者自身、40代後半で、それまでとはまったく畑違いの世界から派遣に飛び込みました。だから、初めて工場に入る人の不安が痛いほどわかります。この年齢で未経験の現場に入って、やっていけるのか——正直、最初は不安だらけでした。

でも、入ってみるとすぐに安心しました。理由は、「そのあたりにいる、普通の中高年のおじさんの一人」として見てもらえるからです。経歴も国籍も一切関係なく、ただの一人の人間として存在できる。これは私にとって、とても大きなことでした。

年下から教わるのも新鮮でした。覚えが悪ければ当然、注意もされます。けれど、これの何が素晴らしいかというと、年齢に関係なく、仕事を覚えるための指導をきちんとしてくれるということです。ITエンジニアの世界では、使えない人には情報を与えず、別の人と交換するのが当たり前でした。工場は人材が定着しにくいぶん、今いる人たちで何とか仕事を回そうという努力が、現場から伝わってきます。若い人は何とも思わないかもしれませんが、これは本当にすごいことだと感じています。

「工場勤務の末路」が不安な人へ:キャリアは本当に終わる

「工場勤務の末路」という検索があります。将来が不安なのだと思います。正直にお答えします。

40代未経験から工場で年収400万を実現する

正直に言えば「現場作業」のままなら頭打ち

工場の現場作業を続けるだけでは、キャリアアップは望めません。これは工場という業種の特性です。ここは嘘をつかずにお伝えします。

でも「製造業で生きる」と決めた瞬間、見方が変わる

しかし、製造業の中で生きていこうと考えた途端、景色は一変します。

コミュニケーションが得意でない人たちとも関係を築き、チームワークを作り、リーダーや管理者になった瞬間に、どの製造業でも通用するノウハウが手に入ります。そして、どの製造業も、そういう経験を持つ人材を常に探しています。

派遣から正社員への登用のハードルは、非常に低いのが実情です。派遣会社もそれを推奨しています。そこからリーダー・管理者を目指せば、数年で「製造業ならどこでも働ける人材」になれます。末路どころか、ここからキャリアが始まるのです。

続ける人・抜ける人の分かれ目

見てきた中での分かれ目をお伝えします。若い人の多くは「今」を生きていて、キャリアアップしてもつぶしが効かないと考えて抜けていきます。一方、続ける人は、その仕事を面白いと感じている人か、続けることで得たポジションの居心地の良さを大切にする人です。「待遇は高くなくても、精神的な負担がないから」と言う人も少なくありません。どちらが正解ということではなく、自分が何を大切にするか次第です。

「製造業でキャリアを作りたいけど、何から始めれば?」という方へ。派遣から正社員・管理者になるまでに私が実践したことをまとめた資料を、LINEで無料配布しています。

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「きつくない工場」を見分けて選ぶ方法

最後に、これから工場を選ぶ人に向けて、実際に役立つ選び方をお伝えします。

派遣会社には希望を「具体的に」伝える

筆者が派遣会社に伝えたのは、とてもシンプルです。「この地域で、自宅から一番近くて、一番時給が高いところ」。そして「知識はないけれど、入ってから一から勉強するので迷惑はかけません」と。これだけで、条件に合う案件を紹介してもらえました。希望は遠慮せず、具体的に伝えるのがコツです。

【人事視点】良い派遣会社・避けるべき派遣会社の見分け方

採用する側から見て、派遣会社には明確に良し悪しがあります。

避けるべき派遣会社の特徴

  • 前払い(前借り)を許容する
  • 支払いが柔軟すぎる
  • 担当者が雑

良い派遣会社の特徴

  • 面談のために、こちらが指定した地域まで出向いてくれる
  • 履歴書から、行間を埋める話を丁寧に聞いてくれる

ひとことで言えば、悪い会社ほどお金を強調し、良い会社ほど人材を丁寧に扱います。 ここを見れば、かなりの確率で判断できます。

求人票は「呼び込み用のネタ」と心得る

意外に思うかもしれませんが、求人票に出ている案件は、いわば呼び込み用のネタです。実際に募集はしていますが、「大量に人を集めてほしい」「登録率が良い」案件がメインで出てきます。同じ案件を複数の派遣会社が出していることがほとんどなので、全部に申し込んで面談すれば、どの会社が良いかすぐにわかるようになります。

【工場派遣のおすすめ求人サイト比較記事】

まとめ:工場勤務の「きつい」は偏見かもしれない

工場勤務には「きつい」「頭おかしい人が多い」というイメージがつきまといます。昔は「工場=社会の負け組」というレッテルまで貼られていました。

しかし、実際に製造ラインに入って一つのものを作り上げる経験をし、しかも収入は一般職より高い。中に入ってみれば、世間のイメージが偏見でしかないことがよくわかります。

無理して周りに取り入る必要はありません。工場は、予定通りに物事が運ぶことを何より大切にする世界です。速くやろうと焦ったり、ペースを乱したりせず、自分の仕事を丁寧に積み重ねれば、信頼は確実に大きくなっていきます。 話すのが苦手でも受け入れてくれる。自分のペースで働ける。それが工場の強みです。

賢い人は、すでにこの選択肢を選び始めています。

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この記事を書いた人

40代後半で、まったくの異業種から工場派遣として製造業へ。その後、正社員に転籍し、総務人事として採用を担当。現在は業務改善で現場管理者の指導も行う。「派遣として働く側」「採用する側」「現場を回す側」の3つの視点から、工場の仕事と中高年のキャリアについて、きれいごとなしの本音を発信しています。専門は半導体・精密機械の現場。

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