いきなりですが質問です。
起業してから売上げも順調になり、徐々に新たな事業や販路が拡大し、期末で大きな利益がでそうです。さてあなたは何をしますか?
考えましたか?
おおよそ下記のことが浮かんだと思います。
- 従業員の士気を高めるために期末賞与を与える
- 設備投資をする
- 内部留保。何もしない
- 飲食に使う
どれも間違いではありませんが、それよりもまず真っ先にやってほしいことがあります
それは
目 次
不採算事業の整理・撤退、高額な経費の見直し
儲かっているときに案外見落とすのがこの2つです。
これをしっかり切り捨てることができれば、小さな会社でも安定して運営できます。
なぜ儲かっているときにするかは、きちんと理由があります。
事業は立ち上げるにもお金がかかりますが、実は撤退するほうがもっとお金がかかります。
会社の収益が厳しくなってからでは資金と時間の余裕がありません。後になって事業の整理縮小というのはまず不可能と思って間違いありません。
整理縮小を追い詰められてするのではなく、自分が主導してやることが大切です。
清算対象となる事業は、赤字事業は当たり前ですがそんなわかりやすい不採算事業ではありません。
- ほんの少し儲かったり、ちょっとマイナスのときがあったりして利益には貢献していないが売上高には貢献している。
- 利益の上昇が大きく見込めない。
- 事業の運営期間が多少あるため変な情が沸いている
こういった事業です。その事業単体だけで見ると「自転車操業に近い」というものです。
そういった事業の整理や撤退には時間が多少かかるためそのためのコストが必要になります。
また、仕入、販売に期間契約が絡んでいると違約金も発生します。
なのでそれなりのコストが必要になります。
経費も同じです。ランニングコストがかかる経費は見直しの対象です。こちらも期間契約になっていると思うので、違約金が発生する場合があります。
もちろん、違約金は最小に抑えて他社に乗換えをします。乗り換えは重複期間が発生するので引当金が必要になります。
このように、事業や経費の整理・撤退はお金がかかります。会社が不安定で売上高をあげるために奔走しているときは、時間も撤退コストも捻出できません。
まとまったお金ができたときに一気に行います。
撤退や縮小を期末にまとめて行うことが大切
常に撤退縮小を考えていると視野が狭くなるから
ではありません。
期末にする理由は銀行対策です。
期中に行うと撤退した事業の分だけ売上高が下がります。おそらく月次の試算表も提出していると思いますので銀行は
「あれ?売り上げが下がっている。来期は大丈夫かな?」と心配になります。
銀行は利益も大切ですが売り上げの伸びを重視します。
期末の利益を不採算事業の引き当てとして計上すると、銀行側への説明もスムーズに行きます。また膿をだしたことで来期の売上高の期待も持ってくれます。
もちろん撤退縮小の対象の洗い出しを行うには多少の時間が必要なので前もって準備する必要はありますが、実行するのは期末にします。
これで何が変わるのか?
事業を運営するコストが毎月100万円かかったとすると、毎月100万円の売り上げと同額の仕入・経費の支払いがあり、会社にほとんど利益をもたらしません。
毎月100万円投資しても100万円しかリターンがありません。要は失敗事業です。それはそれで反省して、儲かっている事業に投資するほうが将来のためになります。
こういう事業にかかわる人を他の仕事に振り替えたり、人員も削減するという決断をしなくてはいけません。
経費の削減は削減した分だけ毎月の利益に変わります。
削減した翌年の事業は運転資金が少なくて済むのでさらに利益が出やすくなります。そして伸びている事業に集中できるので売り上げが加速します。
まあいうのは簡単ですが、実際の事業撤退や経費削減はとても勇気が要ります。
しかし、会社にはいい時と悪いときの波が必ずあります。悪くなってからは、事業撤退するためのコストと時間が捻出できないので、やはり経営者は勇気を持って取り組むほうが長続きすると思います。
儲かったときは、自分の最大の力を出し切ったと思ってしまい、足下をみなくなります。しかしいったんそこで立ち止まり思い切った整理をすると後になって「あの時見直ししてよかった」と思える日が必ず来ます。次期の決算でそれがはっきりわかりますので、儲かったら是非検討してみてください。